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検診で血尿・蛋白尿を指摘されたら、尿路癌や慢性腎臓病を心配しましょう!

検診の尿検査で血尿やたんぱく尿を指摘されることは決してめずらしくありません。 "病院で精密検査を受けましょう"の指示に従い、せっかく病院を受診しても、詳しい検査をせずに心配ないと言われることも少なくないようです。また、毎年健診で出現しているから面倒だと病院へ行くのを何年もやめている人もおられます。これらは、じつは危険なことです。 今や日本人の400人から500人に一人が末期腎不全のために透析療法を受けているという事実からしても検尿異常を軽視してはなりません。ほとんどの透析患者さんは、検尿異常から発病するのです。蛋白尿が陽性の方は、末期腎不全に至らないために、必ず十分な検査を受ける必要があります。どんな疾患も初期対応が重要です。

さらに、血尿の異常から尿路系の癌(膀胱(ぼうこう)癌、尿管癌、腎盂(う)癌、腎細胞癌、前立腺癌など)が見つかります。早期癌であれば適切な治療を行えば助かる時代になってきています。特に、前立腺癌は、毎年増加してきています。欧米では、癌の中で一番多い癌になっています。発見の時期を逃さないことが重要です。
蛋白尿や血尿といった検尿の異常から腎不全、尿路系癌の異常を見つけ、早期の状態からの治療を行うことが大切です。

検査に関して

検査に関して

さて、病院でどんな検査が行われるのか?不安な方もおられると思いますので簡単に説明しておきましょう。
(これらの検査をすべて行うものではありませんし、また、大きな病院でないとできない検査もあります。)


検尿沈渣:尿の詳しい検査です。
蛋白尿 体位性、間欠的、持続的か?その量は多いのか?蛋白の内容は?早朝尿の検査は?
尿蛋白/クレアチニン比は?微量アルブミン尿は?
血尿 顕微鏡的血尿(目に見えない血尿)か?肉眼的血尿(目で見て赤い血尿)か?
蛋白尿と血尿がともにあるのか?変形赤血球(糸球体由来赤血球)か?

血尿のみの時には、癌をまず疑って検査されるのが普通です。尿路系の癌がなければ尿路結石症、それらが否定されれば慢性腎臓病がないのかという順になります。
癌が疑われれば、以下の2をおこないます。
慢性腎臓病が疑われれば以下の3になります。

画像検査

KUB(腹部単純レントゲン撮影検査)、腹部エコー精密検査(ドップラーエコー機器使用)、尿細胞診(尿の中に癌細胞がないかの検査。) NMP-22(尿路系癌が作る物質が多くなっていないかの検査)また、癌が疑われるときには膀胱尿道の内視鏡検査、CT、MRIを必要とします。さらに、強く癌が疑われれば、入院して尿管鏡検査、腎盂鏡検査も検討します。また、前立腺生検(組織の一部分を取って顕微鏡で調べる検査)、膀胱生検なども行う必要が出てきます。

腎臓病の評価

血圧測定、BMI測定、各種採血検査(一般採血、血清蛋白分画、CRP、抗核抗体、抗DNA抗体、IgG、IgA、IgM、CH50、C3、C4、クリオグロブリン、好中球細胞質抗体など)24時間蓄尿検査(腎機能の精密検査、1日の尿蛋白量の計測、1日の蛋白摂取量、1日の塩分摂取量の計測)、腹部単純レントゲン撮影検査、腹部エコー精密検査(ドップラーエコー機器使用)。
以上の検査から強く腎臓病が疑われるときには腎生検検査を行います。(腎臓の障害の種類を病理的に調べます。腎臓に細い針を刺して腎臓の一部をとってきて顕微鏡で調べる検査です。障害の種類や程度を調べるには一番の検査ですが、侵襲性があり入院が必要になります。)

最終診断としては、以下のような疾患がないかを調べることになります。

慢性糸球体腎炎(IgA腎症など)、糖尿病性腎症、腎硬化症、尿路系の癌(膀胱癌、腎癌、腎盂尿管癌、前立腺癌など)腎血管性疾患などが判明します。

治療
各種腎炎 薬物(ステロイド、免疫抑制剤など)治療や扁桃腺摘除(IgA腎症の場合)
慢性腎臓病 生涯末期腎不全に至らないように食事療法、薬物療法、運動療法などを行ってゆきます。1ヶ月から6ヶ月毎の定期的検査が必要
尿路系癌 基本的に手術が必要になります。1ヶ月から6ヶ月毎の定期的検査による早期発見や再発予防と術後の腎障害のフォローアップが必要です。

ただし、前立腺癌は、手術以外にもホルモン治療や放射線治療があり、手術を行わない場合でも優秀な治療成績を上げています。

慢性腎臓病(CKD)とは?

慢性腎臓病は、2002年にアメリカで提唱された概念です。
様々な腎臓疾患を主に蛋白尿と腎機能の面からわかりやすいように慢性腎臓病(CKD)と名付けられました。
慢性腎臓病は、今や全国に400万人といると言われ国民病と言われています。高齢化や生活習慣病の増加とともに今後さらに増加すると言われています。
慢性腎臓病を放置しておくとその終焉は、透析治療か腎移植治療となります。
さらに、慢性腎臓病の進行は、脳卒中や心筋梗塞、心不全も引き起こすと言われます。
このために早期発見、早期介入が強調されています。
慢性腎臓病の発症は、高血圧、糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム、脂質異常症、高尿酸血症、膠原病、感染症、尿路結石、高齢、家族歴、過去の尿異常指摘、鎮痛剤の常用、急性腎不全の既往が危険因子として上げられています。
これらが思い当たる方は、詳しい検査をして慢性腎臓病ではないかを診てもらう必要があります。

尿路系の癌の術後は?

尿路系の癌の術後は?

腎細胞癌や腎盂癌、尿管癌などの手術などで腎臓がひとつになった方は、確実に腎臓の機能が落ちます。腎臓がひとつになった時点で、慢性腎臓病予備軍または慢性腎臓病と考えて良いと思います。こういった方の中には、将来、透析治療を受けなければならない方が出てきます。高血圧、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症(痛風)などの病気を持っている方はなおさらです。透析治療をできるだけ防ぐために、慢性腎臓病の管理を厳格に行う必要が出てきます。当院では、尿路系癌の手術で腎臓がひとつになった方の食事療法、薬物療法、運動療法を積極的に行っております。24時間蓄尿検査を行い、腎臓のより正確な機能を知り、塩分、蛋白摂取量を知り、食事療法、運動療法を的確に指導してゆきます。


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